子規や漱石が降り立った港「汽船乗り場跡」
松山市三津3丁目4付近
乗り場があった当時は、「くぼたの浜」と呼ばれるきれいな砂浜でした。松山藩の外港であった三津は、明治時代には県内外の流通の拠点となりました。夏目漱石が松山に赴任する際に降り立ったのもこの港で、ここからマッチ箱の列車(坊ちゃん列車)に乗りました。
また正岡子規や秋山兄弟も上京の折、この港を利用しています。
「停車場はすぐ知れた。切符も訳なく買った。乗り込んでみるとマッチ箱の様な汽車だ。ごろごろと5 分許り動いたと思ったら、もう降りなければならない。道理で切符が安いと思った。」
ー 夏目漱石「坊ちゃん」
三津浜から出航するとき、桟橋まで見送りにきてくれたひとたちのなかで、旧藩時代、秋山家の上司だった徒歩組の組頭がすすみ出て、「伊予松山藩の名をたかからしめよ」とこの少年(真之)をはげました。
ー「坂の上の雲」1巻 真之