150年前を語りかける家
三津2
山谷家は、運送店として船舶荷物を取り扱い、三津浜の近代経済の基盤形成に貢献してきました。
山谷運送の創始者・山谷市松は昭和9年から11年まで三津浜町長として三津浜の発展に尽力しました。
当時、市松が尼崎汽船の幹部をしていたとき、たまたま三津浜に調査に来たことが縁で、明治28年に運送店を開業し、
この家を購入しました。山谷市松の孫、山谷武夫氏は「雨漏りがひどいので30 年前に屋根を葺き替えました時、
元治元年吉日の文字が入った瓦がありました。その瓦を保存しておきたかったのですが、そのときの職人さんが、
これは珍しいからぜひ記念に下さいと持って帰りました。」と語っています。
つまり山谷家は河野家と同様に江戸時代末期の建築と推定されます。
この家を見ていると今も往時の商いのありようが目に浮かんでくることでしょう。
■愛媛県松山市三津2丁目13-29
参考文献:三津の古建築ものがたり